レポートにおいては付加価値を意識しよう


 先日久しぶりに平日の母校の図書館に行ったら、 時期のせいかたくさんの学生がレポートの作成に取り組んでいました。 昔は手書きのレポートが多かったのですが、流石に時代的にナンセンスとなったのか、 MacBook等のノートPCでレポートを書いている学生が多かったのが印象的でした。

 この項目では、大学生活で何かと求められるレポートについてまとめたいと思います。 といっても、レポートの書き方や形式についてまとめる気はありません。 これらは大学の講義や先輩のレポート等を参考に習得してください。

 会社に入っても、例えば技術調査等に関して報告書を出す機会は多いですが、 正直フォーマットは(最低限整っていれば)どうでもよくて、大切なのは中身です。 この中身が大事だという点と、中身を良くするためのポイントは、 大学生であろうが社会人であろうがそんなに変わらないと私は考えています。

 ここでは私は普段意識しているレポート作成のポイントを3つ紹介したいと思います。 是非大学でのレポート作成の一助として下さい。

@事実と主観を明確に切り分ける

レポートする対象によって微妙に異なるかもしれませんが、 レポートを提出する大きな目的は、(a)対象に関する事実の共有と(b)作成者の付加価値の共有、 にあると思われます。 (大学の先生が評価をつけるため、というのは置いておいて下さい)

当然、それぞれについて収集した情報や学んだことをまとめて行くのですが、 その際に、どこまでが事実で、どこからが主観なのかを意識することが最初のスタートとなります。

仕事で新入社員の報告書を読んでいて、一番良く引っかかり、また自分が報告書を作成する際に最初に注意しているのが、 この事実と主観の切り分けです。

例えば実験のレポートについては、この事実と主観の切り分けは容易です。 再現可能な客観的な事実に基づき行うのが実験であり、主観の入りようが無いので…。 しかし、自分の考えをまとめたりするレポートについては、 この事実と主観を入り混じらないようにするのは非常に重要です。

本やWebに書いてあることや人から聞いたことをベースに文章でまとめていく中で、 どこまでが誰の考え(事実(注:事実で無いものも多数あり(笑)))で、どこからが自分の考え(主観)なのか、 知らぬ間に混ざってしまうことは非常によくあります。

事実を明確にするにあたっては、発言者を明確にしたり、 段落で事実と自分の考えを分けたりするなど、 きちんと意識して貰いたいなと思います。 読みながら「あれ?これは誰の意見なんだ?」となるレポートは優しくありません。 (余談ですが、英語は日本語以上に主語を明確化する必要があるので、必然的に誰でも理解できる内容になる場合が多いです)

A枠にとらわれない一次情報の収集

良いレポートは収集した一次情報の質が高いです。 例えば講義に関するレポートをまとめる際は、 講義で得られた以外の情報、教授の書いた関連する書籍を読み、そのリファレンスになっている論文に目を通したり、 自分なりの体験や仮想実験をしてみるなど、 与えられた枠を超える一次情報の収集に挑戦してみて欲しいと思います。 (一瞬で他学生との差別化が出来ます)

特に、教授に示唆を与えるような一次情報を付加することは、 非常に重要です。仕事においても、いちばん大切なのはお客様のニーズで、その情報は足や個人の体験でしか稼げません。 大学のレポートなので、主観のところで付加価値を出すのが一番重要ではあるのでしょうが、 材料が同じでは同じような結論しか出ないのは当然です。 ユニークな主観を足し込むためにも、+αの情報を収集してみてください。 (例えばマーケティングに関するレポートだと、独自アンケートとかがイメージしやすいでしょうか)

情報のまとめ方については、3Cや4P等のフレームワークを使ったらより綺麗なのですが、 講義のレポートレベルでは枝葉の部分と考えて良いと思います。 フレームワークを活用することで一次情報の抜け漏れがなくなる、という観点もあるのですが、 そこまで気にしなくていいでしょう…。仕事が始まってからで良いと思います…。 もしくは卒論・修論の時に活用してみて下さい。 (なお、将来コンサル業を目指す人は日々のレポートでこれらのフレームワークを活用してモノにしておくことをオススメします)

Bユニークな主観の足し込み

自身の知見を共有することがレポートの目的なので、この主観の足しこみは非常に重要です。 工学系のレポートの場合、主観、というか客観的な新たな事実を証明するために、 一次情報を集める取り組み、が来るので、順序としては主張したい主観が先になるのですが、 人文系のレポートの場合は、一次情報から論理的に自身の主観を展開する力が求められます。

この際にポイントとなるのは、組み合わせを可能にする視野の広さでしょうか。 ユニークな主観というのは、人に気付きを与える考えとも言えます。 それは、その人が今まで気付いていなかった、何かと何かをつなげる示唆ということも出来ます。

ここで、Aという事実とBという事実をつなげるためには、それぞれの情報を収集するという行動に加えて、 それらをつなげるための視野の広さが必要になります。

少し話が飛びますが、今日本の様々な大企業(業界問わず)が、自社技術を開放し、他社と連携をする、 オープンイノベーションの施策を進めています。 ユーザニーズが多様化や技術のグローバル化(ハード→ソフト化)が進み、自前主義では立ち行かなくなっているためです。 (他にも要因はたくさんありますが、ここでは割愛させて下さい)

そしてこれらの課題を解決するための手段として、社外に知見を求めるアイデアソン・ハッカソンや、 社内イノベーションを推進する企業の躍進、企業間アライアンスの推進、会社を跨いだ人材交流、 採用・働き方の多様化推進等が各所で進められています。

レポートで主観を足し込む際も、目の前の情報だけではなく、一見関係のなさそうな別の情報を組み合わせて、 新たな主観として足し込むことが、ユニークなレポート作成の一歩になると思います。

そのためには、日頃から読書や色々な業界の人との議論を通じて、視野を高くするとともに、 自身の専門に関する深い知見を蓄えておくことが重要です。

どちらも揃っていない1,2回生の段階で、そこまで深いレポートを作成するのは困難でしょうが、 新たな付加価値を産み出すための基本となる考え方は、是非大学生のうちに身につけておいて欲しいな、と思います。

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 色々書きましたが、一番最初に取り組めることは、Aの「枠にとらわれない一次情報の収集」だと思います。 Bについては、Aを繰り返す中で自然と書けるようになっていくと思います。 (そもそも、Aすらしようとする学生が少ないので、余裕で高評価を得られると思います)

 仕事においても、足で稼いだ情報には、それ自体に価値があります。 一次情報を大切にするという価値観をレポート作成を通じて、まずは学んで欲しいと思います。





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